お役立ち情報 人事労務管理

一般健康診断について

事業者は常時使用する労働者に対し以下の健康診断を受けさせる義務があります。
また、健康診断の結果の内容は、労災を未然に防止する為にも
事業者がしっかり確認しておく必要があります。

 

1.一般健康診断

①  雇入時の健康診断(安衛則第43条)

常時使用する労働者を雇い入れるときに実施するもので、所轄労働基準監督署長
への報告は必要ありません。※医師による健康診断を受けてから3箇月以内の者が、
その結果を証明する書類を提出した場合は、その項目は省略できます。

②  定期健康診断(安衛則第44条)

常時使用する労働者を対象として、1年以内ごとに1回実施するものです。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」を
所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

③  特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)

多量の高熱物体を取り扱う業務、振動を与える業務、坑内業務、
深夜業務等の業務(労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる特定業務)へ
配置替えした際と6箇月以内ごとに1回実施するものです。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」を
所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

④  海外派遣労働者に対する健康診断(安衛則第45条の2)

6箇月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するもので、
所轄労働基準監督署長への報告は必要ありません。

⑤  給食従業者の検便(安衛則第47条)

事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、
雇い入れ時及び配置替えの際に実施するものです。

 

2.健康診断項目

上記①

上記②

上記③

上記④

(1) 既往症及び業務歴の調査

(2) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

(3) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

(4) 胸部エックス線検査及びかくたん検査

(5) 血圧の測定

(6) 貧血検査(血色素量、赤血球数)

(7) 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)

(8) 血中脂質検査(LDLコレステロール、
HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

(9) 血糖検査

(10) 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

(11)心電図検査

※◎は、必須健診項目です。
△は、医師が必要でないと認めるときなどで、省略ができる健診項目です。

 

3.健康診断実施後の事業者の具体的な取組事項

(イ) 健康診断の結果の記録

健康診断の結果は、健康診断個人票を作成し、それぞれの健康診断によって
定められた期間、保存しておかなくてはなりません。(安衛法第66条の3)

(ロ) 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取

健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、
労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師による
健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければなりません。
(安衛法第66条の4)

(ハ) 健康診断実施後の措置

上記(イ)による医師又は歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、
作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。
(安衛法第66条の5)

(二) 健康診断の結果の労働者への通知

健康診断結果は、労働者に通知しなければなりません。(安衛法第66条の6)

(ホ) 健康診断の結果に基づく保健指導

健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、
医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。
(安衛法第66条の7)

(へ) 健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告

常時50以上の労働者を使用する事業者は、1.の②、③の健康診断を行なった
ときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に
提出しなければなりません。(安衛法52条)